校長室より 『 ネジバナ 』 6/21
2020.6.21
「 ネジバナ 」
初夏の熱気とともに、春と変わらないように見える草原に、ちょっとした変化がおきています。
6月になってネジバナが咲き始めましたが、みなさんは見たことがありますか。
その花の名は、花茎の周りをらせん状に花が並んで咲くことに由来しているそうです。
私がネジバナを意識したのは、30歳になり湯河原中学校に赴任した頃です。
当時は現在の町民体育館を含む広い敷地に旧湯河原中学校の校舎がありました。
蓮池のある美しい中庭の芝生一面にネジバナが群生していました。
始めて見たときは、たくさんの花の量に圧倒されましたが、落ち着いて見ると一つひとつの花の形や色がかわいらしいことに気づきました。
そして、規則正しく、らせん状に渦をまいて花がついているところも面白いと思いました。
さらに、何本も茎を観察すると、らせんには右巻きもあれば左巻きもあり、なかにはらせんにならずに真っすぐ並んでいる花弁もあり、一つひとつが個性的であるところに興味が増しました。
すごい花を見つけたと思い、図書室にいって植物図鑑で調べてみると、意外にも日本の低地から亜高山帯までの芝生や湿地帯の明るい場所で普通に見られる、身の回りによくある多年草だと分かりました。
”なぜ” こんなに興味深い花の存在に、生まれてこの方30年間も気がつかなかったのかと不思議に思ったのを覚えています。
皆さんは、今、大きな変革が世界中に起きてようとしていることを知っていますか。
それは、人種差別の撤廃運動です。
きっかけは、アメリカで白人警察官による黒人に対する厳しい取り締まりの映像を見た人たちが、
人種差別に抗議するデモ行進を始めたことでした。
その後、世界各国で人種差別撤廃に賛同する人々が立ち上がっています。
今までも、人種差別をしてはいけないことは、たくさんの人が理解していたはずです。
しかし、私も含め、自分の身近な問題として考えなてこなかったのではないでしょうか。
もう、気づかなかった、考えなかったではすまされない問題だと多くの人々が感じているのです。
肌の色や祖先が生まれた場所の違いが、人の価値を決めることなどありません。
あたり前ですが、人はみな同じでないからこそ豊かなのです。
みなさんも、ぜひ、人種差別撤廃に興味を持って調べたり考えたりしてみてください。
校長 石井 朝方