校長室より 『 名前を覚える 』 12/6
2020.12.6
「 名前を覚える 」
『まず、担当する学年の全生徒の名前を覚(おぼ)えてください』
と、教育実習をスタートさせる先生方にアドバイスしています。
生徒は名前で呼ばれることで相手に存在を認められたと感じるからです。
誰かに認められるのはうれしいことです。
年齢を問わず、その感覚は同じだと思います。
それと同時に、名前を覚えると自分の中でその人が〇〇さんという個性のある人になっていきます。
その人をより深く知る足がかりになります。
私が湯河原町の小中学校の管理職として着任して5年が経ちます。
かつての教え子が今は保護者の立場として出会う場面が多々があります。
中学時代の面影が残っている人には、「〇〇さんかな?」と私から話しかけると、
決まって「名前、覚えていてくれたんですね」と笑顔で答えてくれます。
『今太閤』(めざましい出世をした豊臣秀吉の現代版)と呼ばれた田中角栄元総理大臣は、自分に関わる様々な人々の名前を覚えていて、信頼を深めたと聞きます。
タレントのタモリさんも仕事で関わる人々を名前で呼ぶそうです。
呼ばれたスタッフは「あの有名なタモリさんが自分の名を知ってくれている」と感激し、一生懸命仕事に取り組みます。
結果、番組制作グループのチームワークも良くなり、視聴者も納得する番組ができ、そして長寿番組(長い期間続く番組)になっていくそうです。
「 名前 」は親や家族や親しい人たちが、その人をとても大事に思って、この世に生まれて最初に贈るプレゼントです。
だから、誰かが自分の名前を覚えてくれたり、名前を呼んでくれたりすると自分が大切にされていると思えて嬉しくなるのかもしれません。
人を大切にする第一歩は名前を覚えることだと思います。
校長 石井 朝方