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湯河原町立湯河原中学校のNEWS

走る走る俺たち 流れる汗もそのままに

2021.5.13

走る走る俺たち 流れる汗もそのままに いつかたどり着いたら 君にうちあけられるだろう

たとえ今は小さく 弱い太陽だとしても 言葉もない俺たち ひどく暑かった日の夕立

(爆風スランプ「ランナー」より)

運動会練習で一生懸命走っているみんなを見ながら、私の頭の中でずっと流れていた曲です。転んで土ぼこりにまみれても、汗だくになっても走り続ける姿に、「青春だなあ」と目頭が熱くなってしまうのは、やはり歳のせいでしょうか?

自分が中学生だったころの運動会は、あまり印象に残っていません。昔の運動会は、徒競走中心で学年やブロックで取り組む種目が少なかったし、練習と言えば入場行進やラジオ体操ばかりやらされていたから、あまり楽しくなかったんだと思います。ひとつだけ思い出に残っているのは、学級対抗リレーのメンバーに選ばれて仲間と共に走り、優勝したこと。(昔はこれでも足が速かったんですよ。4人で撮った記念写真がまだ実家にあるんじゃないかな。)

教員になってからは、運動会でたくさんの思い出ができました。その中でも特に鮮明に覚えているのが、もう20年以上前に担任した3年生のクラスでの出来事です。ムカデ競走の先頭を務めていた少しやんちゃな男子。練習中の彼のキツイ言葉や気まぐれな言動についていけなくなった男子たちが、何と運動会前日に爆発。言い争いの末に、「あいつが先頭だったら、ムカデには出ない!」と言う子が出てきてしまったのです。本番は明日。どうする?困った私はクラスの男子たちに「男子会議を開く!」と宣言し、放課後の教室で、男子一人ひとりから今までの気持ちや最後の運動会にかける思いなどを語ってもらいました。(「今日塾なんだけど…」という生徒も「クラスの危機なんだよ!」と説得して残らせたんだから、今考えると強引な担任でした。)言いたいことは言えたけど、結局結論のようなものは出せず、私が「最後なんだから、みんなでがんばろう」というようなことを言って終わらせました。彼はずっとうつむいたまま。その様子を見ていたクラスの女子たち、「先生、あたしたちに任せて!」。運動会当日、なんと男子ムカデは、彼を先頭に立派に走りきったのでした。実はあのあと、女子たちは手分けしてクラスの男子一人ひとりに電話したのです。「明日、いっしょにがんばろうね!」って…。クラスの仲間のひとことって、担任の説教なんかより何百倍も力があるんだなあ、と思い知らされた出来事でした。

さて、今年の湯河原中学校の運動会では、みなさんの心にどんな思い出が刻まれるのでしょうか?

3学年主任 木村久美子


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