伝える、伝わる、
2020.11.21
最近、「暗幕のゲルニカ」(原田マハ)を読了し、改めてアートの力を実感しました。
「ゲルニカ」は、一九三七年にドイツ軍がスペインの街ゲルニカに行った無差別空爆をモチーフに、パリ万国博覧会のパビリオンの壁画として描かれた巨大な油彩画です。
作者は、二〇世紀絵画の巨匠、ピカソ。
空爆がまさに今起こったかのような生々しさ、恐怖を描いて、平和を訴える、忘れたいけど、忘れてはいけない、そんなインパクトのあるメッセージ、そしてピカソの怒りが「ゲルニカ」には描かれています。
思いを形として表現するために言葉や絵、音楽等が存在します。
私は国語科としても言葉の修業中ですが、思っていることをなかなか言葉にすることができず、もどかしさを抱くことも多々あります。
そんな中だからこそ、今、改めて「ゲルニカ」に圧倒されました。
そんな中、3年3組の女子の間で行われている「絵しりとり」。
時折見せてもらうのですが、これが本当に難問!
(本人たちの許可を得て写真を載せるので、ぜひチャレンジしてみてください。)
たくさんヒントをもらってなんとか当てるということもあるのですが、自分の描いた絵が相手に伝わると嬉しそうで、見ていて微笑ましくなります。
例えば、ピカソのようなインパクトのある作品でも、お友達同士での会話でも、思いが形になるって、なんだか不思議で、素敵です。
そして、言葉も、絵も、それが真剣なものでも、遊びでも、やっぱり「伝わる」って、嬉しいなと、その原点を見せてもらえた気分です。
不安なニュースや受検のことで憂鬱になったり、納得のいかないことに苛立ったり。
気持ちがずっと穏やかでいられたらいいけれど、それは簡単なことではなくて。
でも、私たちには言葉や絵等、思いを表現する方法がたくさんあります。
例えば、傷ついたときに、反抗したいときに、力ではなく違う方法で抗うことができる。
気持ちを整理することができる。
相手に、自分の思いを伝えることができる。
そうであってほしいです。
どんな形でも思いを形にして発信していければ、それはメッセージとなって誰かに届きます。
そして、きっと、「伝わる」と、ほんの少しかもしれないけれど、心が穏やかに近づくような気がします。
「絵しりとり」の生徒たちに「先生も描いてよ」と言われるのですが、見ているのが可愛くて、ずっと断っていました。
でも、写真をホームページに載せることをお願いしたら「更新を楽しみにしている」と言われたことだし、描く側にも参戦してみようかなと思います。
絵が下手なので伝わるか不安だけれど、「伝わってほしい」と思って表現したものが「伝わる」といいなと思います。
徳久