校長室より 『 今日の自分 』 10/2
2020.10.2
「 今日の自分 」
この夏、唯一県大会が実施される陸上競技の地区予選会で、湯河原中学校の3年生が躍動しました。
男子400mリレーなど5種目に優勝、準優勝を果たし、10月3日(土)県大会に出場します。
チームが一丸となって取り組んだ結果でした。
その前週にはスポーツ交流会も無事終了しました。
コロナ禍で密を避けるために試合数を減らしたこともあり順位戦をしませんでしたが、多くの3年生が「交流会に参加して良かった。」と言ってくれました。
色々な思いがあったでしょうが、乗り越えて先を見ている姿勢に頼もしさを感じました。
マラソン界の魔術師と呼ばれるイタリアの名コーチ、レナート・カノーバさんは、
「陸上競技は遅いタイムで優勝するよりも、速いタイムで6位になることのほうが価値のある競技。他の人と比べないで自分の力を伸ばすことを目標にしなさい。」と言っています。
順位のように人と比べるものは、どうしても気になってしまいます。
けれど、勝ち負けだけが重要ではありません。
それよりも、あなたの一つ一つの努力によって自分自身を磨き上げていくことや、どんな環境下でも自分を前に進められることが大切だと思います。
昨日の自分や昨年の自分と比べて、今日の自分が少しでも成長していると感じられたなら素晴らしいことです。
校内の部活動でも、外部のクラブチームでの活動でも、中学時代にそれぞれのスポーツに全力を注いだ3年生みんなの努力に拍手を送りたいです。
そして、明日からも、さらに大きく成長してくれることを期待しています。
文化部所属の3年生の発表会も夏休み明けから順次実施されています。
どんな発表を見せてくれるかとても楽しみです。
発表される作品が、つくり上げた生徒の「成長の証(あかし)」であったら嬉しいです。
校長 石井 朝方
校長室より 『 GREAT(グレート) 』 9/30
2020.10.1
「 GREAT(グレート)」
小田原・足柄下地区中学校英語発表会が10月3日(土)に開催されます。
湯河原中学校からは3年生の小澤さんと渡辺さんが参加します。
出場が決まってから毎日放課後に練習してきたそうです。
発表会本番を前に、その成果を校長室で聞かせてもらいました。
練習を一生懸命した結果でしょう、発音がネイティブに近く、よどみなく2人の会話が成り立っていて上手でした。
アトランタ・シドニーと2回のオリンピックでアメリカに金メダルをもたらしたソフトボール選手のミッシェル・スミスさんはこう言っています。
「 GREAT の最大の敵は GOOD です。
GOOD で満足してはいけません。
今より上手になりたいのならば GREAT を目指しなさい。」
代表の2人には、残りの3日間、GREATを目指して練習に励んでほしいと思います。
頑張れ!
校長 石井 朝方
地域のみな様へ 『 ジャージ登校 』について
2020.9.24
現在、湯河原中学校では、コロナ禍における「学校の新しい生活様式」の対策として、学校で過ごした着衣を帰宅後手軽に洗濯できるようにジャージ登校を実施しています。
制服登校を開始する時期は、今後の新型コロナウイルス感染症の状況により判断し、その時期になりましたら、改めてお知らせいたします。
趣旨をご理解いただき、ご協力賜りますようお願い申し上げます。
校長 石井 朝方
校長室より 『 その人にとって 』 9/7
2020.9.7
「 その人にとって 」
今年の5月に、ひまわりの苗を寄贈してもらった町内に住む梅原雄蔵さんから、
職員玄関横の池用にと、水草と蓮(はす)を頂きました。
水草は池の水を浄化する作用があるそうです。
蓮は今にも咲きそうな黄色いつぼみを持っています。
梅原さんが言いました。
『 この蓮は旧湯河原中学校の中庭の池に生息していたものらしいです。 』
私の頭の中に旧湯河原中学校の中庭の景色が色鮮やかによみがえりました。
先日、このコラムに書いた「ネジバナ」もその池の周りで咲いていましたし、
現在の校舎中庭に移築された白い少年像「 珠 」も池の隣にありました。
旧校舎中庭 現校舎中庭
水面の上で揺れている小さなつぼみが、思い出と重なって特別なつぼみに見えました。
湯河原中学校は長い歴史の中で、校地を移転して現在の海沿いの場所に至っていますが、色々な物で旧校地と繋がっていることを感じます。
その繋がりによって旧校舎育ちの卒業生にとっても、ここも母校だと思ってもらえたら嬉しいです。
「思いやり」や「人権」のように
誰にとっても大切なものがあるように、
一人ひとり、その人にとって大切なものがあります。
自分の大切なものだけでなく、誰かの大切なものも一緒に大切にして行きたいです。
校長 石井 朝方
校長室より 『 日々前進 日々努力 』 8/18
2020.8.18
「 日々前進 日々努力 」
明日19日から『 小田原・足柄下地区中学校スポーツ交流会 2020 』が始まります。
グランドでは照りつける夏の日差しをもろともせず、各部が残り少ない練習に汗を流しています。
体育館、武道場、卓球練習場は蒸し返すような暑さですが、こまめに水分補給をしながら練習しています。
たくさんの生徒が充分でなかった環境の中でも、あきらめずに粘り強く活動してきました。
今まで積み上げてきた練習に自信を持って、思い切って試合に臨んで欲しいです。
私がテニス部の顧問だった時
毎日の練習で部員にかけていた言葉
「 日々前進 日々努力 」
試合前日に選手にかけていた言葉
「 ペアと仲間と顧問、そして、自分を信じて戦いなさい。」
湯中生の活躍を期待しています。
校 長 石井 朝方
校長室より 『 くちびるに歌を 』 8/2
2020.8.2
「 くちびるに歌を 」
先日、生徒代表と今年度の行事について話し合った時に嬉しく思ったことがあります。
それは、私の想像以上に3年生がクラス合唱や学年合唱を大切に考えているところです。
私から、
『 今以上に感染状況が改善されないと、今年は合唱コンクールを開催できないかもしれない 』
と告げると、3年生が発言しました。
「 現在、コロナ感染の影響で音楽の授業中に合唱の練習ができていません。
もしも、このまま充分な練習ができず、自分たちが満足できないクラス合唱になってしまうなら3年生で発表し合うのは嫌です。」
「 半年たって今より状況が良くなっていたら、納得できる練習をしたいです。そして、卒業式に学年合唱をして、後輩や保護者に聞いてもらいたいです。」
学年の仲間と歌うことを大事にしたいという気持ちを知り、私はとても心打たれました。
昨年の合唱コンクールに向かっていた姿と、3年生の生徒代表の言葉、そして、彼らの成長を重ねて、3年生の思いのこもった歌を聞きたいと強く思いました。
歌うことは、何かを乗り越える力を得られるようにも感じます。
今の願いは、来年の3月にコロナ感染状況が落ち着き、卒業式で3年生の学年合唱が聞けることです。
校長 石井 朝方
校長室より 『 学校行事 』 7/13
2020.7.13
「 学校行事 」
先日、今年度の学校行事について生徒たちと意見交換をしました。
生徒代表として各学年から学年委員長と副委員長、生徒会から生徒会長と副会長の計12名に集まってもらい、今回は運動会と合唱コンクールについて話し合いました。
私からコロナ感染予防下で例年のような内容では実施できない現状を説明したのち、それぞれの考えを発言してもらいました。
* 運動会の内容(種目)について
「生徒の接触を軽減するために綱を持つ間隔を広くすれば、綱引きを実施できませんか。」
「クラスリレーではバトンを使わず、前の走者が線を越えたら次の走者がスタートする方法はどうですか。」
「スポーツ大会と抱き合わせにして、接触の少ないネット型スポーツ、例えばバレーボールや卓球、バドミントンなどを会場を分散して実施したらどうですか。」
* 感染予防のために、運動会を無観客(保護者不参加)にした場合について
「3年生は中学校最後の運動会です。本当は家族に自分の活躍を見てもらいたいけれど、現在の神奈川県の感染状況では無観客も仕方ないです。」
「1年生の私たちは来年があるから、3年生の保護者だけ参加できるようにしてはどうですか」。
「観客が応援してくれると私たちの気持ちも盛り上がります。しかし、今年は家族に感染させることの方が心配です。」
「後日、写真や映像をDVDにして各家庭に配布したらどうですか。」
* 現段階では飛沫感染予防のため、合唱コンクールに向けて集団で歌う練習を始められない状況について
「今は合唱練習することは難しいです。その分、3年生として卒業式には充分に練習した学年合唱を保護者や後輩に聞かせたいです。」
難しい問題に対して湯河原中学校の生徒たちは、一生懸命よく考えてくれます。
3年生の最上級生としての意見に成長を感じました。
私たち職員は感染状況や生徒たちの意見を参考にしながら、これからの行事開催を判断し,
限られた条件下ですが生徒と一丸となって行事を作っていきます。
校長 石井 朝方
校長室より 『 仕事 』 7/6
2020.7.6
「 仕事 」
3年生と校長面談をしていると、将来やってみたい仕事について話してくれる生徒がいます。
その仕事を選んだ理由や目的は様々ですが、自分の未来について15歳なりに一生懸命考えていています。
今年で38歳になる教え子から連絡がありました。
彼は地元を離れ、近県で建設業に従事しています。
「 現場監督として神奈川県内で造っていた建物ができあがったので、先生に見て欲しい 」
後日、案内された建物は想像以上に立派なできばえで驚きました。
完成を待ちわびている家族がどこかにいて、この建物と一緒にこれから幸せに暮らしていくのだなと想像して、私は自分事のように誇らしく感じ、見学に誘ってくれたことをとても嬉しく思いました。
彼の中学生時代を振り返ると、手先が器用で美術や技術家庭が得意でした。川釣りが趣味でルアー(擬似餌)を手作りしていました。
そして、何よりも友達や周りの人を喜ばせることが大好きな少年でした。
彼は今も、あの頃と同じように、大工として誠実に家を建てることでお客さんを喜ばせています。
自分の得意なことを活かして人生を歩んでいます。
もう日が沈みかけて薄暗い中、作業工程を丁寧に説明してくれる大人びた彼の横顔に、卒業してからの年月を大切に生きてきた証を見た気がしました。
校長 石井 朝方
校長室より 『 音 』 6/29
2020.6.29
「 音 」
部活動が再開しました。
中学校にあるべき音が戻ってきました。
スパイクが土を踏みこむ音、
ボールを蹴る音、
ボールを打つ音、
ガットがきしむ音、
ボールがリングに当たる音、
ボールをあげる音、
台でボールがはねる音
竹刀を振る音、
リズムをきざむ音、
鉛筆で描く音、
ビーカーを洗う音
キーボードをたたく音
学校内に、生徒の声が響きます。
グランドに、体育館に、テニスコートに、中庭に、武道場に、音楽室に、美術室に、理科室に、パソコン室に。
マスク越しのくもった声に慣れてしまったせいか、透きとおった音のように聞こえます。
嬉しそうな声を聞いているだけで、こちらもワクワクします。
限られた環境の中ですが、湯中生には一致団結して、思い切り中学校生活を楽しんでほしいです。
校長 石井 朝方
校長室より 『 ネジバナ 』 6/21
2020.6.21
「 ネジバナ 」
初夏の熱気とともに、春と変わらないように見える草原に、ちょっとした変化がおきています。
6月になってネジバナが咲き始めましたが、みなさんは見たことがありますか。
その花の名は、花茎の周りをらせん状に花が並んで咲くことに由来しているそうです。
私がネジバナを意識したのは、30歳になり湯河原中学校に赴任した頃です。
当時は現在の町民体育館を含む広い敷地に旧湯河原中学校の校舎がありました。
蓮池のある美しい中庭の芝生一面にネジバナが群生していました。
始めて見たときは、たくさんの花の量に圧倒されましたが、落ち着いて見ると一つひとつの花の形や色がかわいらしいことに気づきました。
そして、規則正しく、らせん状に渦をまいて花がついているところも面白いと思いました。
さらに、何本も茎を観察すると、らせんには右巻きもあれば左巻きもあり、なかにはらせんにならずに真っすぐ並んでいる花弁もあり、一つひとつが個性的であるところに興味が増しました。
すごい花を見つけたと思い、図書室にいって植物図鑑で調べてみると、意外にも日本の低地から亜高山帯までの芝生や湿地帯の明るい場所で普通に見られる、身の回りによくある多年草だと分かりました。
”なぜ” こんなに興味深い花の存在に、生まれてこの方30年間も気がつかなかったのかと不思議に思ったのを覚えています。
皆さんは、今、大きな変革が世界中に起きてようとしていることを知っていますか。
それは、人種差別の撤廃運動です。
きっかけは、アメリカで白人警察官による黒人に対する厳しい取り締まりの映像を見た人たちが、
人種差別に抗議するデモ行進を始めたことでした。
その後、世界各国で人種差別撤廃に賛同する人々が立ち上がっています。
今までも、人種差別をしてはいけないことは、たくさんの人が理解していたはずです。
しかし、私も含め、自分の身近な問題として考えなてこなかったのではないでしょうか。
もう、気づかなかった、考えなかったではすまされない問題だと多くの人々が感じているのです。
肌の色や祖先が生まれた場所の違いが、人の価値を決めることなどありません。
あたり前ですが、人はみな同じでないからこそ豊かなのです。
みなさんも、ぜひ、人種差別撤廃に興味を持って調べたり考えたりしてみてください。
校長 石井 朝方