校長室より 『 3年生へ 卒業式を前に 』 3/10
2021.3.10
「 心は近くに 」
昨年の2月まで、世界がこんなに変わってしまうなんて想像できませんでした。
新型コロナウィルスによって学校生活も一変しました。
毎年、当たり前のように実施してきた修学旅行や運動会、部活動の大会・コンクール学習、発表会等の行事がいつも通りにできなくて寂しい思いをした人も多かったでしょう。
しかし、コロナ禍でも中学生活を前向きに過ごし乗り越えてきたみ人もたくさんいたはずです。
特に人間関係では色々な学びがあったように感じることがありました。
地域の方々から、こんな話をうかがいました。
「以前は、一人や少人数で登下校することの多かった湯中生が、臨時休業を明けてからは集団で楽しそうに登下校する姿がたくさん見られる。それは町の中で、とても微笑ましい風景だ。」と
休業中の寂しさと学校に行っても密にならないように距離を取らないといけないことから心は近づきたいと皆が思い、友達と一緒に登下校するようになったのでしょう。
仲間と少しでも一緒にいたいと思う気持ちをこれからも大切にしてください。
卒業する皆さんの輝かしい未来に、幸多いことを祈ります。
明日は、素晴らしい卒業式にしましょう。
校 長 石井 朝方
校長室より 『 受検する3年生へ 』 2/14
2021.2.14
1.筆記
あわてずに問題をじっくり読んで答えよう。
あきらめないで時間いっぱい、最後までベストを尽くしてください。
2.面接
相手の話をしっかり聞いて誠実に対応してください。
『 湯中生 がんばれ 』
校 長 石井 朝方
校長室より 『 自由な時間 』 1/10
2021.1.10
緊急事態宣言が再発令されました。
これから先、みなさんはどんな日常を作っていきますか。
私はみなさんに、未来に向けて前向きな気持ちで中学校生活を送ってほしいです。
感染拡大を防ぐため、今後、授業や部活動に制限がかかるかもしれません。
それでも、希望を失わず前を向いて乗り越えていってほしいのです。
困難な状況下でも前向きに生きたモデルとして、万有引力を発見したことで有名なニュートンの話を紹介します。
今からおよそ350年前、1665年、現在のコロナウイルスのようにペストという病気がイギリスを襲いました。
現在と同じようにイギリス国内の大学が休校になりました。
当時ケンブリッジ大学の学生だったニュートンは突如与えられたこの時間を何に使おうか考えます。
ふつうなら、学校が閉鎖されれば喜んで遊んでしまいそうですね。
ニュートンも、同じように大学が閉鎖されて喜んだのですが、それは自分の自由な時間、日常ではかなわなかった研究や思索に没頭する時間が確保できたからです。
普段はなかなかできない興味がある分野の勉強をじっくりしようと決めます。
そして、故郷に戻り自宅にこもって勉強し、わずか18カ月の間に世界の常識を変える3つの大発見をします。
一つは数学の分野で微分積分法の発見、
もう一つは科学の分野で万有引力の発見、
そして、プリズムの実験から光の学問・光学を確立しました。
のちの人々がこの18カ月を「驚異の年」とか「創造的な休暇」とニュートンへの尊敬と驚きの気持ちを込めて名を付けています。
これからの3カ月をあなたにとって大切な時間にして、目標をもって過ごしてください。
将来の自分が、「 あの時よく頑張ったから今がある 」と言ってくれるような時間を過ごしてください。
校 長 石井 朝方
校長室より 『 先輩 』 12/30
2020.12.30
尊敬する先輩が亡くなって1年が過ぎました。
今日、ご自宅を訪ねましたがご家族はあいにく留守でした。
持参した花に名刺を添えて玄関先に置き、お帰りになるまで、先輩と一緒に散歩したことのあるコースを歩いてみました。
年末とは思えない温かい日差しの中を、名を知らぬ川に沿って、名も知らぬ山を眺めながら散策しました。
先輩がこの川や山を見ながら暮らしていたのだと思うと、目に入る景色すべてが愛おしくなりました。
そこにいるだけで場が和む先輩でした。
ただ先輩と話しているだけで安心できました。
教師として、父親として、たくさんのことを学ばせてもらいました。
楽しい思い出も尽きることがないほどです。
できることなら、もう一度会いたいです。
湯河原中学校の生徒の皆さんには、たくさんの人と素敵な出会いをしてほしいです。
あなたの人生を豊かにしてくれるような尊敬できる先輩に出会えたらいいなと思います。
そして、いつかあなた自身も尊敬される先輩になり、出会った人の人生に豊かな彩りをそえるような人になってくれたら嬉しいです。
校 長 石井 朝方
校長室より 『 ずっと 』 12/19
2020.12.19
「 ずっと 」
12月5日(土)、吹奏楽部のクリスマスコンサートが開催されました。
3年間応援してくれた家族への感謝の気持ちがこもった素敵なコンサートでした。
コロナ感染を予防するため今年度は学習発表会を中止しました。
そのため パソコン部、美術部、吹奏楽部は時期をずらして分散発表会を行いました。
そして、今回吹奏楽部のコンサートが終了し、運動部と文化部全ての3年生が部活動を引退しました。
吹奏楽部は2年前に長年の念願だった地区コンクールでの金賞を獲得し、その後2年連続して神奈川県大会に出場しました。
卒業した先輩たちが頑張ったのはもちろんですが、現3年生が入部してから演奏レベルがアップしたことは間違いない事実です。
そうやって今まで先輩を下支えしてきてくれた3年生が部の中心となった今年、吹奏楽部はコロナ感染で思うような活動ができませんでした。
イベントでの演奏がなくなり、さらに目標にしてきたコンクールも中止になってしまいました。
どんなに残念だったでしょう。
私にはそのつらい気持ち慰めるすべがありませんでした。
でも、そんな失意の中で気持ちを切り替えて、3年生が後輩の指導を始めたと顧問の先生から聞いて心打たれました。
そんな3年生に育ってくれたことをうれしく思いました。
音楽は年齢を重ねても楽しむことができます。
楽器を奏でることが苦手な私でもギターを抱えて歌って楽しむ日があります。
60歳になっても25歳のあいみょんの恋愛ソングを聞いて心を震わせる日もあります。
音楽は素敵です。
楽しみながら好きなことを続けることは素晴らしいです。
吹奏楽部の3年生、新しい環境で新しい仲間に出会って、音楽をずっと楽しんでください。
パソコン部の3年生、これからもキーボードを夢中でたたいて、コンピュータの無限の可能性を見つけ出し、新しいものを作り出すことをずっと楽しんでください。
美術部の3年生、大好きな絵をどんどん描いて、自分の内なる世界を表現することをずっと楽しんでください。
この先コロナ感染が続いたとしても、君たちが自分で見つけた大好きなことを楽しみながら生活してくれることを心から願っています。
校 長 石井 朝方
校長室より 『 名前を覚える 』 12/6
2020.12.6
「 名前を覚える 」
『まず、担当する学年の全生徒の名前を覚(おぼ)えてください』
と、教育実習をスタートさせる先生方にアドバイスしています。
生徒は名前で呼ばれることで相手に存在を認められたと感じるからです。
誰かに認められるのはうれしいことです。
年齢を問わず、その感覚は同じだと思います。
それと同時に、名前を覚えると自分の中でその人が〇〇さんという個性のある人になっていきます。
その人をより深く知る足がかりになります。
私が湯河原町の小中学校の管理職として着任して5年が経ちます。
かつての教え子が今は保護者の立場として出会う場面が多々があります。
中学時代の面影が残っている人には、「〇〇さんかな?」と私から話しかけると、
決まって「名前、覚えていてくれたんですね」と笑顔で答えてくれます。
『今太閤』(めざましい出世をした豊臣秀吉の現代版)と呼ばれた田中角栄元総理大臣は、自分に関わる様々な人々の名前を覚えていて、信頼を深めたと聞きます。
タレントのタモリさんも仕事で関わる人々を名前で呼ぶそうです。
呼ばれたスタッフは「あの有名なタモリさんが自分の名を知ってくれている」と感激し、一生懸命仕事に取り組みます。
結果、番組制作グループのチームワークも良くなり、視聴者も納得する番組ができ、そして長寿番組(長い期間続く番組)になっていくそうです。
「 名前 」は親や家族や親しい人たちが、その人をとても大事に思って、この世に生まれて最初に贈るプレゼントです。
だから、誰かが自分の名前を覚えてくれたり、名前を呼んでくれたりすると自分が大切にされていると思えて嬉しくなるのかもしれません。
人を大切にする第一歩は名前を覚えることだと思います。
校長 石井 朝方
校長室より 『 褒(ほ)められる 』 11/15
2020.11.15
「 褒(ほ)められる 」
教え子が訪ねて来ました。
カステラを土産に持って。
会うのは3年ぶりです。
彼は良いことをした時、頑張った時にやってきます。
だから,私は会うたびに彼を褒めています。
人はいくつになっても誰かに褒めてもらうと嬉しくなります。
年を重ねても褒められてうれしいと思う経験を私は何度かしています。
自分の存在を認めてもらえるからでしょう。
しかし、彼のように自分から申告できる人は少数派です。
だから、子供たちの周りにいる大人は子供たちをもっともっと褒めてみてほしいです。
子供の周りには、家族、親戚、近所の人、そして教師もいます。
子供たちの行動を褒めようとして見ていればチャンスはたくさんあるはずです。
一番大切なのは、子供が頑張ったところを見のがさないことです。
何を褒められたか忘れても、褒められて暖かくなった気持ちはずっと心に残ります。
それが今後の支えになるかもしれません。
校 長 石井 朝方
校長室より 『 やれなかったこと 』 11/8
2020.11.8
「 やれなかったこと 」
旧生徒会役員の3年生と懇談会をしました。
新年度から生徒会活動を振り返ると,
4、5月の2か月間は休校で活動ができませんでした。
やっと6月に学校が再開しましたが、感染予防体対策から集会や会議が開けませんでした。
しかし、今日集まってくれた3年生6人を中心に放送や紙媒体を使い、できることを精一杯やってくれました。
懇談会では、
選挙活動で人前に立って演説したとき緊張したこと、
色々な場面で仲間に助けられたこと、
後輩に期待することなどを
懐かしそうに話してくれました。
杉山前会長が
「”やり残したこと” ではなく、”やれなかったこと”があって心残りです。」と、
発言したことが心に残りました。
今後、コロナ禍では、やりたくても ”やれないこと” がいくつも出てくるかもしれません。
そんな時、あきらめずにできる範囲で全力を尽くすことと、一人ではなく周囲と協力して取り組むことをこの3年生6人は生徒会活動を通して学んだのではないかと思いました。
生徒会での経験を活かし、さらに大きく成長してくれることを願っています。
役員のみなさん、1年間お疲れ様でした。
真摯に生徒会活動に取り組んでくれて、ありがとう。
校 長 石井 朝方
校長室より 『 青空の下で 』 10/13
2020.10.13
「 青空の下で 」
10月12日、月曜日、運動会を開催することができました。
当日は、夏を思わせる澄み渡った青空が広がりました。
コロナ感染予防を考慮して、例年実施してきた種目の内容を見直しました。
結果、種目数は減り、演技時間も減り、半日日程の短い運動会になりました。
でも、生徒のやる気と笑顔は減りませんでした。
生徒が嬉しそうに活動している姿が見られて本当に良かったです。
青空の下、大切な半日は笑顔があふれる時間になりました。
いつも、子供たちに救われます。
保護者の皆様にはたくさんの応援の拍手を頂きました。
忙しい中、本当にありがとうございました。
校長 石井 朝方
校長室より 『 前へ 前へ 』 10/12
2020.10.12
前期を終えて
「 前へ 前へ 」
令和2年になり、今までに想像も経験もしなかった新型コロナウィルスへの感染拡大という緊急事態が世界中に広がりました。
今でも感染状況は収束したわけではありません。
けれど、緊急事態宣言が発令されていた頃に比べれば、マスクや手洗いで自分や周りの人を守る新しい生活スタイルが確立してきました。
それでも、生活の中で不自由を感じることも多かったのではないですか。
今年度の始まりの4月、5月は、世界中がステイホームを合い言葉に家に留まる生活になりました。
学校は休校。
生徒は友達にも会えず、学習はプリントを使い各自で進めていました。
本校では6月に分散登校が開始され、教室では半分の人数でマスク越しで離れて過ごしながら学習を再開しました。
感染状況はなかなか回復せず、運動会、修学旅行などの学校行事や生徒総会などの集会の開催を諦めざるをえませんでした。
7月にはいり、感染対策を充実させ、やっと部活動を再開できました。
しかし、3年生が目標にしてきた夏の総体は開催できませんでした。
生徒たちは本当に悔しかったと思います。
大会の代わりに8月末にスポーツ交流会が開催されました。
3年生は気持ちを切り替え、仲間と最後の試合ができたことを喜んでくれました。
そのことで、私達教員こそ救われました。
こんな風に、ほんの少し振り返っても、色々なことがありました。
あまりにもたくさんのことがあって、わずか半年間の出来事が遠い昔に起こったような気がします。
今日まで、生徒たちは、たくさんの困難を乗り越えてきました。
そして、思い通りに行かない現実と向かい合い、よく頑張っていました。
一人ひとりを心から褒めてあげたいです。
最近、シンガーソングライターの中島みゆきさんの「時代」という歌が頭に浮かびます。
『そんな時代があったねと
いつか話せる日が来るわ
あんな時代もあったねと
きっと笑って話せるわ
だから今日はくよくよしないで
今日の風に吹かれましょう』
と歌っています。
思い通りにならないことは今だけでなく、これからも何度も起こると思います。
例えば、今日運動会ができなかったこと、
勉強しても成績が思うほど伸びないこと、
友達と上手につき合えないこと、
部活動で練習しているのになかなか上達しないこと などです。
どんなにたいへんな時でも、進むべき方向がわからなくなった時でも、自分の思う前へ前へと、もがきながらでもいいから進んでほしいです。
進めば必ず出口が見えてきます。
出口の向こうには明るい光がさしているはずです。
そうやって見つけ出した先には、「あの時あんなに頑張った」、「あきらめずに進んだ」と、笑顔で話せる時が来るはずです。
必ず来ます。
そして、その経験は未来の生徒自身を支える力に必ずなります。
校長 石井 朝方